障害年金とは

障害年金とは

「年金」という言葉を聞くと「65歳からしかもらえないんじゃないの?」を思われる方も多いのではないかと思います。

公的年金には3種類の年金があり、65歳以上の方に支給される年金は「老齢年金」という年金で、公的年金制度の一つです。

「障害年金」も公的年金制度の一つで、障害年金は20歳から64歳の方に支給される年金です。

それでは、障害年金とはどういった制度で、誰がどれくらい受給できるのかを分かりやすくご説明したいと思います。

 

障害年金って何?

障害年金を知るために、まずは年金制度全体像をみてみましょう。

公的年金制度には、主に3つに分類され「老齢年金」「遺族年金」「障害年金」に分かれます。

下記の図をご覧ください。

年金の種類

老齢年金

まずは原則65歳以上で支給される「老齢年金」です。

一般的に「年金」といえば、この「老齢年金」のことを指しますね。

 

遺族年金

つぎに配偶者が亡くなった場合に支給される「遺族年金」です。

一家を支えて仕事をされていた方がお亡くなりになった場合、遺族の方は生活に困りますよね。

そういった遺族の方の生計を維持する助けとなるために支給される年金です。

 

障害年金

そして最後に、病気やけがにより障害を負ったことにより労働・日常生活に困難がある人に支給される「障害年金」です。

老齢年金は「原則65歳以上」で支給されるのに対して、障害年金は「現役世代」の病気やケガなどに備えられた救済制度です。

ですから障害年金は若年層のための年金と言っていいと思います。

 

障害年金の種類

障害年金はひとつの年金制度であると思われがちですが、いくつかの「種類に分かれている」ということをご存知でしょうか。

じつは「加入していた年金制度」により、請求できる障害年金が「障害基礎年金・障害厚生年金および障害共済年金(※1)」に分かれます。

どの障害年金を請求するのかは、病気やけがで「初めて医師の診察を受けたときに加入していた年金制度」により決まります。

病気やケガになった際、初めて病院を受診したとき、国民年金に加入していた方は「障害基礎年金」、厚生年金に加入していた方は「障害厚生年金」、共済年金に加入していた方は「障害共済年金」を請求することになります。

支給される年金が異なることにより、支給額や加算の有無などが変わってきます。

下記の図をご覧ください。

障害年金の種類

ご覧いただいたとおり「初診日に加入していた年金制度が国民年金の場合」は3級はありません。

つまり同じ3級程度の障害状態なのに、初診日において「国民年金に加入していた方は不支給」「厚生年金または共済年金の方は3級認定」されるといった違いがあります。

それでは他にどのような違いがあるのか、それぞれの制度ごとに違いをまとめてみましたので、ご覧ください。

 

障害基礎 障害厚生 障害共済
等級 1~2級 1~3級 1~3級
加算
配偶者 ×
窓口 年金事務所

市区町村役場

年金事務所 共済組合

 

障害基礎年金

障害基礎年金は、障害基礎年金初診日に国民年金に加入している方が支給対象になる障害年金です。

障害等級表の障害の状態に該当すると「障害基礎年金」が支給されます。

主な対象者は『主婦の方や自営業者・フリーター・学生など』が当てはまります。

また先天性の病気や20歳前に発病していた場合などの『年金支払い義務の無い期間に初診日があるケース』も、障害基礎年金で申請することが可能です。

 

制度による違い

【等級】
1級または2級」のいずれかです。3級および障害手当金は対象外なので、注意してください。

【加算】
障害厚生年金や障害共済年金とは違い「配偶者の加算」はありません。一方、原則として18歳未満のお子様がいる場合は「子の加算」があります。

【窓口】
ご自宅近くの「年金事務所・市区町村役場」が窓口です。

 

障害厚生年金

障害厚生年金は、障害厚生年金初診日に厚生年金に加入している方が支給対象になる障害年金です。

障害等級表の障害の状態に該当すると「障害厚生年金」が支給されます。

主な対象者の方は『サラリーマンや社会保険加入のアルバイトの方など』が当てはまります。

 

制度による違い

【等級】
「1級~3級」までが対象です。また3級の基準に満たさない場合であっても、一定基準に該当すれば一時金として「障害手当金」が支給されます。

【加算】
配偶者がいる場合は「配偶者の加算」があります。また、原則として18歳未満のお子様がいる場合は「子の加算」があります。

【窓口】
ご自宅近くの「年金事務所」が窓口です。障害厚生年金は「市区町村役場」では受付できませんので、ご注意ください。

 

障害共済年金

障害共済年金障害共済年金は、初診日に共済年金に加入している方が支給対象になる障害年金です。

障害等級表の障害の状態に該当すると「障害共済年金」が支給されます。

主な対象者は『公務員など』が当てはまります。

また組合専用の様式が用意されている等「共済組合独自のルールが多い」ため注意が必要です。

 

制度による違い

【等級】
1級~3級」までが対象です。

【加算】
配偶者がいる場合は「配偶者の加算」があります。また、原則として18歳未満のお子様がいる場合は「子の加算」があります。

【窓口】
障害共済年金は「ご自分が加入している共済組合」が窓口となります。

 

【POINT】制度により受給金額も違います!!

老齢年金の制度をイメージしていただければわかりやすいかと思いますが、障害年金も「障害基礎年金」と「障害厚生年金・障害共済年金」では、受給できる金額が異なります。

受給できる金額について目安を記載しておりますので、詳しくは「障害年金の受給金額」をご覧いただき、参考にしてください。

 

障害年金はどんな病気で受給できるの?

障害年金は「病気やケガなどで労働・日常生活に困難がある人」に対して支給される公的年金であることはご説明しました。

それでは「どのような」病気・ケガであれば、障害年金を申請することができるのでしょうか?

一部「原則として対象外」とされる傷病もありますが、”基本的にはどのような傷病でも対象”となります。

つまり、障害年金は「さまざまな部位・病気」に適用されます。
障害年金の受給対象の病気
※代表的な傷病であり、上記に限られるものではありません。

 

障害年金って、どの程度の病気で受給できるの?

障害年金の等級障害年金は「病気やケガにより障害を負ったことにより労働・日常生活に困難がある人」に対する年金ですが、病気やけがであれば必ず受けられる訳ではありません。

障害年金の等級は「障害等級1~3級」まで用意されており、「障害の状態」が最も重い場合を1級、軽くなるに従って2級・3級となります。

そして障害等級に当てはまらない程度、つまり「障害の状態が軽度の場合」は、たとえ障害年金を請求したとしても受給することができません。

障害等級1~3級までは「障害年金」として月々一定金額が支給されます。

また障害等級が上がるにつれて「受給額も多く」なり、障害状態が重いほど手厚い保護が受けられる仕組みとなっています。

さらに3級には満たないものであっても一定の基準を満たす場合については、一時金として「障害手当金」を支給されることがあります。

なお障害年金を支給するまでもないと判断された場合には、「不支給」とされ障害年金を受け取ることはできません。

 

【POINT】身体障害者手帳との違いに注意

「身体障害者手帳」とは、身体障害者福祉法に基づき、身体に障害をお持ちの方を対象に都道府県等が発行する手帳をいいます。

障害者手帳の等級は「1~7級」まであり、6級以上に該当すると手帳が発行されます。

よく「障害年金も身体障害者手帳と同様に7級まで存在する」と誤解されるため、誤認しないようにご注意ください。

 

 

障害認定基準とは

障害状態が軽度の場合は障害年金が受け取れないと先述しましたが、では「どのような基準」で1~3級または不支給などを認定をされるのでしょうか。

どのような障害状態を何級と認定するのかについては、「障害認定基準」に定めがあります。

障害認定基準には「”個々”の障害に応じた詳細な基準」が用意されています。

それは、障害とは「見える障害」から「見えない障害」があり、その症状や発症部位・種類も様々で、画一的に基準を設けることは難しいためです。

しかし全ての基準を理解することは困難なため、今回は認定基準を理解するうえで基本となる「各等級の目安」についてご案内いたします。

下記の図をご覧ください。

障害認定基準

上記の図に記載された内容の詳細は「認定基準 第2障害認定に当たっての基本的事項」にてご確認いただけます。興味のある方はクリックしてご覧ください。

 

【POINT】目安を確認するうえでの注意点

前述した「等級の目安」は、あくまでもおおよその基準です。

障害年金はもともと制度自体非常に複雑でわかりにくくなっています。

「障害の等級」は、障害の種類・状態または障害の継続期間など「様々な事項を総合的に考慮したうえ決定されるもの」とお考えください。

そのため、上記の基準を満たせない場合であっても、障害等級を満たす可能性もあります。

さらに一部の傷病については日常生活や仕事に困難がなくても受給できる場合があります。

もしも「自分の障害状態は等級に該当するのかな?」と悩んでいる方は、お近くの年金事務所や専門家に相談してみましょう。

 

その他の障害年金受給要件

これまで『障害年金の基礎』についてご説明して参りましたが、障害年金とは病気やケガにより障害を負ったからといって誰でも受け取れるという訳ではありません。

障害年金を請求するためには、いくつかの要件を満たす必要があります。

せっかく申請の準備を整えても、要件を満たしていない場合は『不受理』として受付してもらえません。

そのため手続きに入る前に「要件を満たしているか」しっかりチェックすることが重要になってきます。

詳しくは「障害年金の受給要件」をご覧ください。(クリックするとご覧いただけます。)

 

障害年金の受給事例

ここでは当事務所にご依頼いただき障害年金を受給できた事例をご紹介いたします。

ぜひ事例を通して「障害年金ってこんな感じ」という具体的なイメージを掴んでください。

なお、ご紹介する事例はご本人の許可を得たうえ個人情報保護のため一部内容を変更しております。

 

肢体の障害

障害年金の受給事例1

障害年金申請のポイント

Sさんはフルタイム勤務で『社会保険に加入』また『人工関節』を入れていることから障害厚生年金の肢体(膝)障害での申請です。

人工関節の場合ですと「日常生活や労働に支障がなくても」障害厚生年金3級を受けられる可能性がありました。

さらに本来「手術日の翌月から」障害年金を受給できる可能性があったためさかのぼって申請しました。

人工関節で障害年金を請求するときは「他の傷病とはルールが違うことが多い」ため、注意して申請してください。

人工関節に関する詳しい情報は『人工関節・人工骨頭の障害年金申請で「よくある3つの誤解」』をご覧ください。

※「遡及請求」については『障害年金請求の種類』をご覧下さい。

 

精神の障害

障害年金の受給事例2

障害年金申請のポイント

Tさんが当事務所に相談に来たとき、すでに障害年金を申請した後で「不支給」となっていました。

そのため当事務所では「審査請求」からお手伝いさせていただきました。

「審査請求」とは一度目の申請で不支給となった場合、「結果に不服がある」として再度審査してもらうための制度です。

不支給となった場合でも、審査請求で結果が変わることもありますので、諦めずにチャレンジしてください。

 

障害年金に関するよくある質問

これまで障害年金について一通りご説明してきましたがご理解いただけたでしょうか?

最後に”障害年金についてよくあるギモン”にお答えしたいと思います。

 

Q.1 就職していても障害年金は貰えますか?

支給されるA.はい。就職している方も障害年金の支給対象となります。

障害年金は「けがや病気のために日常生活や労働の支障がある場合」に支給される年金です。

就職しているからといって必ずしも障害年金の対象外になるわけではありません。

傷病の種類によっては日常生活や労働への支障を問わず支給される場合もあります。

また上記以外の傷病であっても、「就労の状況」などで対象となることもあります。(例:職場からの援助がある等)

「自分は就職しているから…」と障害年金を諦めず、一度専門家等に相談してください。

 

Q.2 障害年金は一度支給されるとずっと貰えますか?

条件付支給A.基本的に受給できる期間に期限があります。

そもそも障害年金は「ケガや病気が治った・状態が軽くなった」場合は受給できません。

そのためあらかじめ受給できる期間に期限(1~5年間)を設けてあり、これを『有期認定』と言います。

『有期認定』の場合は、障害年金の受給期間を延ばすための「更新手続き」を行う必要があります。

一方「生涯に渡り状態が変わらない一部の傷病」については『永久認定』とされ、老齢年金を貰えるようになるまで「状態確認されることなく」障害年金が支給され続けます。

 

まずはご相談下さい!

障害年金が受給できる可能性があるか、受給できる場合どれくらいもらえるのか等、障害年金に関しての疑問はお気軽にお問い合わせ下さい。

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